70周年の節目に、採用を“二人の仕事”から“会社の共通言語”へ

70周年の節目に、
採用を“二人の仕事”から“会社の共通言語”へ

業種・新車販売
・中古車販売 
・自動車の整備(車検・点検・修理・オイル交換など)
・自動車部品・用品販売(カーナビ・ETCなど)
・損害保険、生命保険代理業(自動車保険・自賠責保険等)
・携帯電話、情報通信機器販売(au、UQmobileなど)
従業員数243名(2025年2月時点)
ご支援内容採用動画制作、採用ピッチ資料制作

愛媛県松山市に本社を置く愛媛トヨペット様は、2026年12月に創業70周年を迎えられます。長い歴史がある会社には、言葉にしなくても伝わる温度があります。けれど採用の現場では、その温度を「限られた時間」で初めて会う学生のみなさんに届けることが、年々難しくなっています。

就活の進め方が変わり、情報は分散し、比較の目はシビアになっています。特に営業職は、営業を希望する学生さんがそもそも多くない上に、その数少ない学生さんが、同業他社様だけでなく金融・不動産など別業界の営業職とも同時に比較するのが当たり前です。

「営業です」という言葉だけでは、魅力が届く前に判断されてしまいます。だからこそ今回、採用動画と採用資料を整えるプロジェクトが動き出しました。
目的は「きれいな制作物をつくる」ことではありません。愛媛トヨペット様らしさを言葉と順番で整理し、誰が説明しても同じ軸で語れる“共通言語”として整える。そして採用だけでなく、入社後の育成まで会社全体で考えていく。
そのための一手としての取り組みでした。


大切にしている言葉が多いからこそ、“整理”と“言語化”が必要でした

愛媛トヨペット株式会社 山岡様(左)、勇様(右)

愛媛トヨペット様には、大切にされている言葉がたくさんあります。
理念には、次のような言葉が並びます。

  • お客様の喜びを自らの喜びとし、感動のサービスを提供する
  • 自らの幸福と生きがいを追求する
  • 法とその精神を守り、社会に貢献し、愛される企業を目指す

また「絆」という言葉も大切にされていました。
「お客様との絆」「地域との絆」「社員同士の絆」。合言葉として「このまちで、みんなが笑顔に。」があり、さらに「ありがとうを成長の原動力に。」という考え方も示されています。

ただ、言葉が多いからこそ、「結局、何を一番伝えたいのか」を一本の線にするのは簡単ではありません。そこで今回、制作に入る前段として、まず言葉を整理するところから始まりました。

ここで大切にしたのは、“型に当て込む”ことではありません。
愛媛トヨペット様の歴史や背景から学び、現場の言葉を丁寧に拾いながら、意味が重なるものを束ね、順番を整え、採用と育成の共通言語として使える形にしていく。このプロセスが、後半の動画・資料の説得力を支えていきました。

そしてもう一つ重要だったのが、暗黙知に頼りすぎないという視点です。
これまで愛媛トヨペット様の良さは、日々の仕事の中で自然と伝わってきた部分もありました。いわば“分かる人には分かる”という暗黙知に支えられていたところもあったと思います。

「言葉で『一日の流れ』を説明しても、学生さんには伝わりにくい部分があるんですよね。どうしても身近なアルバイトの印象と混ざってしまうこともある。実際に動いている社員の姿を動画で見てもらうと、学生さんの発見が増えると思いました。」

仕事のスピード感、声のかけ方、間合い、雰囲気。
言葉では伝えづらい“行間”を、映像はそっと補ってくれる。採用動画は、ただの見栄えづくりではなく、“伝える設計”として位置づけられていました。

現場出身だからこそ“育成まで”の視点が自然に入っていました

勇さんは、もともと採用担当として入社されたわけではありません。カスタマーアテンダントとして現場に立ち、日々お客様と向き合ってこられました。その後、山岡さんから声がかかり、採用の役割を担うことになりました。現在は採用5年目として、採用だけでなく新人教育や育成にも携わっています。

この“現場を知った上で採用・育成に関わっている”という点が、今回のプロジェクトの視点にもつながっていました。採用のゴールを入社に置かず、「入社後に育っていけるか」まで含めて考える。そうしたスタンスが、プロジェクト全体の前提になっていきました。

学生のみなさんが知りたいこと、親御さんが安心できること。そこまで一緒に考えました

制作を進める中で、大切にした合意がありました。

「私たちが伝えたいこと」だけでなく、学生のみなさんが知りたいことにも向き合う。
そして、親御さんが見たときにも安心できる設計にする。

学生の目線で見ると、会社の魅力だけでなく「そもそも業界はどうなっているのか」が気になります。そこで資料の中には、自動車産業の規模感や社会的な位置づけなど、業界理解のパートも整理して入れました。業界の全体像が見えることで、学生のみなさんは「この業界の中で自分はどんな役割を担うのか」を考えやすくなります。

また親御さんの目線では、「この会社なら安心できるのか」「どんな大人たちの中で成長できるのか」が気になります。だからこそ、言葉だけでなく、働く人の姿や空気感が伝わる設計が必要でした。

そしてもう一つ大事にしたのが、「作ったあと」です。動画や資料を作った“あとも”を考えながら、どう見せ、どう使い、どう対話につなげるかまで一緒に組み立てていきました。

実際に制作した採用ピッチ資料

実際に制作した採用ピッチ資料をみる

動画イメージは当初は5分の予定でしたが、結果的には…

今回の撮影は、台本を作らずに臨むと決めました。
台本なしは、正直怖いです。言葉が散らかるかもしれない。伝わらないかもしれない。
けれど整ったセリフよりも、“現場の温度”を残したかったのです。

撮影を終えた後、次に悩んだのが「どんな長さで、どう届けるか」でした。実は当初、動画は5分程度を想定していました。学生のみなさんにとっても見やすく、説明会でも流しやすい長さだからです。ただ、いざ撮ってみると状況が変わりました。撮影に協力してくださったみなさんの言葉が、驚くほどまっすぐで、飾り気がなくて、温かかったのです。
「ここは切りたくない」「この流れがあるから伝わる」——そう感じる場面が続きました。

そこで最終的に、動画は二本立てにしました。

  • ほぼノーカットに近い10分を超える長尺版
  • 興味を持つきっかけとしての2分ほどの短尺版

短尺版は、誰もが気軽に見られる入り口です。
一方で長尺版には、現場の本音や空気感がしっかり残っています。言葉の温度が落ちないからこそ、「会社のことをもう少し深く知りたい」と思った学生さんに、特別感を持って届けられます。

活用シーンも自然に整理できました。合同説明会では短尺版でまず関心をつくり、個別説明会や個別インターンシップでは長尺版を“ここだけの話”として丁寧に届ける。そうすることで、「説明」ではなく「対話」へつなげやすくなり、学生のみなさんにとっても印象に残りやすくなります。

そして迎えたのが、完成した動画を初めてみんなで見る時間でした。撮影のときの空気、整理してきた言葉、台本なしで臨んだ覚悟。いろいろなものを抱えたまま、画面が流れ始めます。

しばらくして、山岡さんが思わず、ぽつりとこぼしました。

「これこれ!」

仕事の説明は前からできます。制度も条件も言えます。
けれど今回映っていたのは、それだけではありませんでした。
「この会社で働く意味」——働く人の姿と温度が、ちゃんと伝わっていたのです。

そして出来上がったものは、採用ツールでありながら、社内研修でも流せるレベルになりました。採用のために作ったはずが、育成にも使える。今回の取り組みが「採用」と「育成」を一本の線でつないだ瞬間でもありました。

採用活動のパスが動き始めたからこそ、“共通言語”が必要でした

この3月、愛媛トヨペット様の採用活動のパスが動き始めました。これまで採用の中心を担ってこられたのは、山岡さんと勇さんの二人ですが、この春から、松田さんと西山さんへ、採用が引き継がれていきます。

愛媛トヨペット株式会社 松田様

実は今回のインタビューは、山岡さん・勇さんのお話を伺う時間であると同時に、松田さん・西山さんへ“採用の考え方と言葉”を引き継ぐ時間にもなっていました。

採用が属人化したままだと、担当が変わった瞬間に言葉が揺れます。説明会の質がぶれることもありますし、候補者の方の体験も変わってしまいます。だからこそ今回の制作は、見栄えを良くする話ではなく、「誰が語っても、同じ方向に向く状態」をつくるための共通言語づくりでもありました。

愛媛トヨペット株式会社 西山様

暗黙知に頼りすぎず言語化し、学生のみなさんが知りたいこと、親御さんが安心できることまで含めて設計する。そして「作って終わり」ではなく、短尺と長尺を使い分けて、合同説明会では短尺で入口をつくり、個別では長尺で対話につなげていく。
その積み重ねの先に、あの一言がありました。

「これこれ!」


採用が難しくなるほど、「伝えたいこと」が増えていく感覚があります。
でも、全部を一度に伝える必要はありません。

まずは自社の良さを、暗黙知のままにせず言語化してみること。次に“伝えたいこと”だけでなく、候補者が知りたいこと・ご家族が安心できることまで含めて設計してみること。そして最後に、作って終わりにせず「どの場面で、誰に、どう使うか」まで決めてみること。

どれも特別な企業だけができることではありません。担当者の頑張りに寄りかかりすぎない状態に近づける。学生との接点を、説明ではなく対話に変えていく。その小さな一歩が、採用を“会社の文化”に変えていきます。

愛媛トヨペット様の取り組みが、同じ悩みを持つみなさまの背中をそっと押す事例になれば幸いです。