組織崩壊を経験した経営者が、経営の軸を“人”に置いた理由

業種介護福祉事業、調剤薬局事業、IT・DXソリューション事業
従業員数100名未満(グループ全体)
ご支援内容週次伴走支援

介護・医薬品販売・ITなど複数の部門を持つNHホールディングス様。同社が掲げる経営の柱のひとつが「グループ化シナジーを最大化する」という方針です。部門ごとに完結するのではなく、たとえばIT×介護、薬局×ITといった掛け合わせで付加価値を生み出す。その発想は、事業戦略であると同時に「どういう組織でありたいか」という姿勢にもつながっています。

ただ、部門横断の価値づくりは、設計図だけで進むものではありません。人が動ける状態、判断の軸が揃っている状態、情報が滞らない状態。
土台が弱いままでは、掛け合わせ以前に組織が前に進まない。NHホールディングス様は、その前提を痛みをもって経験してきました。

今回お話を伺ったのは代表の北村社長。組織が崩れた経験を経て、なぜ「人事を経営の軸に置く」と決めたのか。そして「自分たちで動く」姿勢を崩さない中で、外部との壁打ちをどう活用しているのか。現在進行形の取り組みを伺いました。


組織が崩れたとき、経営の課題が「人事」に集約された

北村社長が人事を強く意識するようになった原点は、2013年頃の出来事でした。介護部門と医薬品販売部門で組織の歯車が噛み合わなくなり、医薬品販売部門は人がいなくなるほどの状態に。介護部門でも短期間で大きな離職が起きました。

「人事の大切さって、学んで理解したというより、崩れたことで思い知った感じです。あの経験がなければ、ここまで“人事を軸にする”という答えにはならなかったと思います」

当時の混乱は、採用だけの問題ではありません。情報の共有、責任の所在、判断の基準、現場の空気——組織を構成する要素が連鎖し、結果として人が離れていく。北村社長は、その現実を経営として受け止めることになりました。

「部門がいくつあっても、掛け合わせは人が動けて初めて成立する。そこが崩れると、一気に持っていかれるんです」

ノースハンドホールディングス 代表取締役 北村様

人事の話が“きれいごと”に聞こえた時期に、壁打ち相手を探していた

人事に意識が向くほど、世の中の「人事の正解」に違和感を覚える瞬間も増えたといいます。現場の痛みを知っているからこそ、きれいな言葉だけでは前に進めない。

そんな中で北村社長が重視したのが、“結論”ではなく“前提”を一緒に扱える相手でした。人事領域の登壇の場でアトモニの話を聞いたときも、印象に残ったのは派手さではなく意思決定の温度感。

「人事の話って、どこか表情と本音が一致していないように見えることもある。でも、栗田さんの話は妙に現実に近かった。『この前提、ちゃんと踏めてる?』って問いが多くて、壁打ちしたくなりました。」

その感覚が、その後のコンタクトにつながっていきました。

『自分たちで動く』——任せきらない姿勢が、シナジーの土台になる

採用も組織づくりも、自分たちで動かないといけない」。北村社長が繰り返し口にする言葉です。採用は、目先の欠員を埋める作業ではなく、現場の未来を決める意思決定でもあります。だから「誰かに任せきって終わり」にはしたくない。

一方で、自分たちで動くほど、判断の重さも増します。社内だけで考えると視野が狭くなる瞬間がある。経験や判断の引き出しも、社内だけでは溜まりづらい。人事の意思決定は短期では成果が見えにくい一方で、間違えたときのダメージは大きい。

「社内のリソースだけで決めたことが、本当に最適かどうかは分からない。人事判断のミスは、経営危機につながり得るので、極力減らしたい。」

“任せきらない”と“抱え込みすぎない”。この両立が、NHホールディングス様の人事の前提になっています。

『判断の精度を上げる壁打ち』——答えではなく、前提と選択肢を整える

NHホールディングス様が外部に期待しているのは、“代わりにやってくれること”ではありません。判断の前提を整理し、選択肢を並べ、意思決定の精度を上げること。いわば、経営のための壁打ちです。

「同じ判断なら安心して進められるし、違っていればもう一回考え直せる。いったん外に出して整理するだけで、判断のミスは減らせます。」

採用計画を立てるとき、現場の温度と経営の意図がズレそうなとき、複数案を並べて冷静に選び直す。そうした“判断の交通整理”ができるだけで、組織の疲弊は減っていきます。最終判断は自分たちで持ちながら、判断の精度を上げるために壁打ちを使う——それが同社のスタンスです。

全国からも人が集まり始めている

壁打ちを活用しながら、採用の取り組みも少しずつ成果として表れ始めています。全国から専門性の高い人材の採用が進み、たとえば遠方からの薬剤師の入社や、IT人材の採用など、地方企業では難易度の高い採用も実現してきました。

必要な人材像を言葉にし、伝え方を整え、判断の軸を揃える。意思決定の質を上げ続けることが、結果につながっている——北村社長はそう捉えています。

エージェント説明会の企画・実施から、数か月で2名採用へ

直近の取り組みとして象徴的なのが、薬剤師採用です。NHホールディングス様では、エージェント向け説明会を企画・実施し、事業の背景や方針、求める人物像を丁寧に伝える場をつくりました。

その結果、説明会の実施から数か月で2名の採用が決定。単に求人を出すだけではなく、「どこで理解を揃えるか」「何を伝えるか」を設計したことが、推薦の質とスピードにつながりました

「採用って、条件を出せば増えるという話じゃない。どう伝えるか、どこで理解を揃えるか。設計の部分が大きいと思います。だからこそ、再現できる形として残していきたい」

課題対応から、経営計画に基づく人材戦略へ

これまでの関わりは、目の前の課題を一つずつクリアしていく側面が強かったと北村社長は振り返ります。その上で次のフェーズとして挙げるのが、経営計画と連動した人材戦略です。

「経営計画に基づいて、どういう人材を採用していくか。そこを戦略として整理していきたい。」

部門を越えたシナジーを最大化するには、部門間の協力だけではなく、採用・育成・評価・情報共有といった“人事の土台”が揃っていることが重要になる。NHホールディングス様は、人を起点に、その土台をつくり直しています。

判断を「一緒に整理する」伴走者(アトモニの立ち位置)

アトモニが担うのは、採用や人事の代行ではありません。企業の背景や現場の温度を踏まえ、判断の前提を整理し、選択肢を並べ、意思決定が止まらないように支える伴走です。

主役はあくまでNHホールディングス様の意思決定。自分たちで動くからこそ、壁打ちが“効く”状態がつくられていきます。


採用や人事は、外注すれば終わる仕事ではありません。けれど社内だけで抱え込むと、判断が内向きになったり、動きが止まったりすることもあります。

「自分たちで動く」と決めたうえで、必要なときに外部の視点で判断を整理し、選択肢を増やし、意思決定の精度を上げていく。NHホールディングス様の取り組みは、その積み重ねです。

アトモニは、企業の代わりに答えを出す会社ではありません。企業ごとの背景や文脈を理解し、考えを整理し、次の一手を一緒に探す伴走者です。「うちも一度、整理してみたい」——そう感じたタイミングが、最初の一歩だと思います。