従業員満足度アンケートから見えた真の課題と強み。
職場を見える化した3年間

| 業種 | ホテル事業・レストラン事業・ブライダル事業・不動産賃貸事業・エコ発電事業 |
| 従業員数 | 100名未満 |
| ご支援内容 | 従業員満足度アンケート調査 |
徳島県鳴門市にある鳴門レジャーランド様(モアナコースト様)。宿泊とレストランを軸に、地域の観光を支える事業を展開しています。観光・サービス業は繁閑差や採用難など外部環境の影響を受けやすい一方で、現場のチームワークが体験価値を左右する産業でもあります。
同社が掲げる目標は明確です。
「徳島県内で従業員満足度が高い会社。さらに、四国内で従業員満足度が最も高い会社になる。」
そのために同社は、“気合い”ではなく、続く仕組みを積み上げてきました。
きっかけは、30年以上の経営の中で初めてと言っていいほど、同じ時期に複数名の退職が重なったこと。
会社として何か見落としていたのではないか。不安がよぎる一方で、結婚など背景が明確で、どうしても防ぎようがない退職もある。状況は一言では整理できません。
そこで同社が最初に選んだのは、原因探しよりも先に「いま何が起きているのか」を冷静に整理することでした。アトモニとの接点が生まれたのは2023年3月頃。当初は「何をどう変えるか」よりも、「何が起きていて、何を優先すべきか」を言語化する時間から始まりました。
今回お話を伺ったのは、現社長の芝野様。
現在は世代交代が進み、創業者であるお父様は会長に、芝野様が社長として舵を取られています。体制が変わるタイミングでも、職場づくりを“継続できる形”にしていくために、同社が何を大切にしてきたのか。現在進行形の取り組みを伺いました。
退職が重なった。「会社が悪かったのか」と不安になった
退職が続くと、どうしても「自分たちに原因があったのではないか」という問いが出てきます。芝野様は当時をこう振り返ります。
「改めて冷静に見ると、退職したスタッフは“会社がすごく嫌で”辞めたわけではなくて、それぞれ理由があった。けれど、それがたまたま重なったタイミングだったんです。」一部には、会社側がもっと早く気付けていれば防げた可能性のある退職もありました。一方で、どうしても避けられない退職もある。だからこそ同社は「誰かを責める」より先に、「状況を分解して捉える」ことから始めました。
この順番が、後の意思決定を大きく変えていきます。

“テクニック”ではなく、“いま抱えている悩み”を話すところから始まった
支援の入口は、施策の話ではありませんでした。芝野様と経営側が、いま思っていることを言葉にしていく時間。そこで得られたのは、安心というより「視界が開ける感覚」でした。
「テクニックは喋らずに、うちの悩みを聞いていただいた、みたいな感じでした。話すだけでも、客観的に自分たちの置かれている状況を見ることができるようになった。」
「採用を新しく始めようとしている段階で、間口を広げてやろうとしてることは間違ってないと言ってもらえて、あ、そうやなと。ちょっと安心したのを覚えてます。」
結論を外からもらうのではなく、状況を整理したうえで「次に何を選ぶか」を自分たちで決められる状態をつくる。ここが、同社にとっての第一歩でした。

「手探りでやるより、相談しながら進めるほうが最短だと思った」
人事・労務・採用は、正解がひとつではありません。課題にぶつかってから調べて対策を考えるやり方だと、どうしても後手になり、場当たりになりやすい。芝野様は、そこを変えたかったと言います。
「今までだと、課題にぶつかってから対策を考えるとか、自分で調べるとか、そういう形になってた。けど、数年後のことを考えて、今こういうことをしておいた方がいい、とか、従業員アンケートをやってみる手もある、とか。いろんな手札を用意してくれる。その中から今の状況に合わせて、じゃあこれをしよう、って決められるのが大きかったです」
“早く結論を出す”ではなく、“判断の精度を上げたまま前に進める”。同社が求めたのはそこでした。
従業員満足度調査:40の設問で職場を見える化し、毎年の文化にする
その後、同社が本格的に取り組んだのが従業員満足度調査です。これまでやったことがなかった取り組みでしたが、「より良い職場づくりをしたい」という意思のもと、設問設計から丁寧に作り込みました。
- 設問は約40(パートの方も含めて回答)
- 匿名性を担保し、本音を書ける形式に
- 結果をスコア化し、良い点と改善点を整理
- やりっぱなしにせず、全体にフィードバックする
「上司とか私には相談できないようなことも、匿名だと書ける。言葉にすることで自分のモヤモヤが出て、自分を見つめ直すきっかけにもなったと思います。」
組織側にとっても発見がありました。
「思ってた以上に満足してくれてる部分が見えた。給与面も含めて、やってることは間違ってなかったと、はっきり分かったのが良かったです。」
会社全体だけで終わらせない。セクション別スコアで、マネジメントの対話を前に進める
同社の特徴は、調査結果を「会社全体の平均」で終わらせないことです。宿泊/レストランサービス/キッチンといった各セクションごとにスコアを切り出し、各セクションのマネジメント層にも共有。昨年から何がどう変わったのかを、感覚ではなく指標で見られるようにしました。
この設計には、二つの狙いがあります。
一つは、現場の実態に合わせて改善を進められること。
もう一つは、属人化を完全に無くすことは難しくても、「俺のやり方は間違っていない」といった思い込みが独り歩きしないよう、対話の土台をつくることです。
数値は“ジャッジ”ではなく、“冷静に会話するための共通言語”。同社はその使い方を、少しずつ組織に根づかせてきました。
2023年10月から毎年実施。調査が「イベント」ではなく「習慣」になった
従業員満足度調査は単発で終わりませんでした。2023年10月を1回目として、翌年も実施し、2025年10月で3回目。毎年の取り組みとして継続しています。
調査をやる会社は多くても、「続ける」「比較できる」「フィードバックまでやり切る」会社は多くありません。ここに、鳴門レジャーランド様(モアナコースト様)の強さがあります。
直近は、採用を“急いで回す状態”ではなくなっている
取り組みを継続する中で、現場の状態にも変化が出てきました。現在は、組織が大きく揺れるような離職が続く状況ではなく、直近おおむね2年は安定しているといいます。
その結果、採用の打ち手も「常に求人を出し続ける」状態から変わっており、求人広告やエージェント等の有料媒体についても、この1年以上“常時使う運用ではない期間”が続いているとのこと。
芝野様は、「たまたま恵まれているだけかもしれない」と前置きしながらも、こう続けます。
「だからこそ、内側に目を向けることが大切だなと改めて感じています。」
不安なときだけではなく、落ち着いているときにも、内側を整える。職場づくりを“運任せにしない”ための姿勢が、ここにあります。
世代交代のいま、四国で“働きがい”のある会社を目指す
現在は世代交代が進み、会長と社長という体制に変わりました。体制が変わる時期は、組織の前提を揃え直すチャンスでもあります。従業員満足度調査を毎年の文化として根づかせたことは、まさにその土台です。
芝野様は、社長になったからには、目指す姿をより明確にしたいと語ります。
「四国内で、同業界の中では一番やりがいがある(働きがいがある)企業を目指したい」
採用・労務・職場づくりを、手探りの属人的な運用から、継続できる形へ。鳴門レジャーランド様(モアナコースト様)の挑戦は、これからも続きます。
読者企業のみなさまへ
退職が重なると、経営も現場も不安になります。ただ、その不安は「誰かが悪い」ではなく、「状況を整理できていない」ことから大きくなる場合もあります。
鳴門レジャーランド様(モアナコースト様)は、まず状況を整理し、職場を見える化し、毎年の調査とフィードバックを積み上げてきました。変化を起こしたのは、外部の力ではなく、“より良い職場をつくりたい”という企業側の意思決定と継続です。
アトモニは、結論を押し付ける会社ではありません。状況を整理し、手札を揃え、いまの会社に合う選択を一緒に決めていく伴走者です。「うちも一度整理してみたい」——その一歩からご一緒できればと思います。
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