広島から、世界へ。“まだ存在しない仕組み”をつくり続ける挑戦

広島から、世界へ。
“まだ存在しない仕組み”をつくり続ける挑戦

業種大学発イノベーション推進・産学連携の活性化を通した共同研究の推進
従業員数30名未満(広島大学 PSI(Peace & Science Innovation Ecosystem)チームメンバー)
ご支援内容採用活動における伴走支援

広島大学を主幹とする「PSI(Peace & Science Innovation Ecosystem)」は、大学の研究シーズを社会実装へとつなぎ、中国・四国地域からスタートアップを創出していく取り組みを行なっているエコシステムです。

Peace&Science Innovation(PSI)公式HP|中四国からイノベーションを創出するエコシステム

この「エコシステム」では、単に起業家の数を増やすことだけを目的としている訳ではありません。
研究者、大学、企業、金融機関及び行政(自治体)が有機的につながり、経営資源(ヒト、モノ、カネ)が循環し続ける状態の中から、持続的にスタートアップが生まれ続ける環境・システムを構築することを指します。

PSIは、「平和を希求する精神のもと、科学と融合したイノベーションを生み出し、世界に拡げていく」というビジョンを掲げています。このエコシステムには、中四国エリアの18大学が参画しており、グローバル展開も含め、取り組みは着実に成果をあげつつあります。

この挑戦は、終わることなく、まだまだ続いていきます。これまで、世の中に存在していない仕組みを自分たちの手で創り続けている渦中にあります。

今回お話を伺ったのは、その中核で実務を担う滝上様。採用支援を通じて見えてきたのは、「人を採る」以前に設定しなければならない「役割を定義する」ことの難しさでした。

研究と社会のあいだにある“空白”に向き合う

大学には、世界に誇る研究が多数ありますが、その研究成果を社会に価値として届けるためには、社会実装し事業として成立させる必要があります。

このとき、多くの研究者たちが直面するのが、明確に言語化されていない研究と社会実装の“あいだ”の存在です。

・研究者だけで社会実装できるのか?
・研究を社会実装するには、何が必要か?
・外部との関係を誰がどのように対応するのか?

PSIでは、研究を社会実装していく上でのこうしたギャップを埋めるために、JSTのスタートアップ支援事業の一つである「GAPファンドプログラム」という仕組みを活用しています。事業化に向けた資金支援に加え、メンタリングやネットワーキング等の人材支援等を通じて、研究の社会実装を支援する取り組みです。

広島大学PSI公式HPより引用

しかし、支援の仕組みを作るだけでは有効には機能しません。
研究者の想いを理解しながら、外部の関係者と連携し、社会実装に向けた計画を前に進めていく。この役割を担う人材を仲間に入れることが不可欠でした。

少人数から始まった立ち上げフェーズ

「およそ3年ですね。振り返ると、かなり大変な時期だったと思います」

広島大学PSI 滝上様

プロジェクトの立ち上げ当初は、少人数での船出でした。複数の大学、行政、企業と連携しながら、仕組みそのものを設計していく必要がありました。

既存のモデルは存在せず、何を優先し、どの順番で進めるべきか全てが手探りの状態。関係者の期待が大きいほど、判断の一つひとつの重みも増していきます。それでも、対話を重ね、信頼を積み重ねながら、少しずつ前に進めていきました。

そして、プロジェクトは採択され、取り組みは一気に加速していきます。

ただ、それは“結果”であり、本質は、表に見えないところで積み重ねてきた意思決定の連続にありました。

経験のみに依存しないという選択

滝上様は、メガバンクにおいて人事領域(採用・教育・評価・異動)に長く携わり、その後ベンチャー企業の経験もされてきました。一見すると、その経験は今回の役割にそのまま活かせそうに思えます。

しかし、滝上様は、経験で得た判断軸にとらわれない選択をされていました。

「過去の成功体験に引っ張られると、かえって判断を誤ることがあると感じていました。

社会が大きな変革期を迎える中、過去の経験則(成功体験)にとらわれず、これから先のことを想像し、周りの意見を取り入れていくことが、判断をする上で重要である。」と言います。

採用においても、その考えは一貫していました。

採用活動の全てを自分たちで行うこともできる中、「意思決定は自分たちで行いながら、環境に即した外部の客観的な視点・意見を取り入れる」という方法を選んだのです。

「自分だけの考えだけで判断してしまうと、どうしても過去の経験に引っ張られてしまう。一歩引いた専門的な見地から客観性を担保することが必要でした。
アトモニには、専門的な見地から意見をいただく存在として、大きな役割を担っていただきました。」

アトモニは、求人の役割整理や言語化、選択肢の幅を広げる場面で伴走する存在として機能を果たしました。その背景には、アトモニ自身もまた、立ち上げ期の試行錯誤を繰り返す経験があるからです。

正解のない中で、何を優先し、どの順番で進めるかを問い続けてきた経験と苦しさを知っているからこそ、「ゼロベースから一緒に考える」という関わり方が自然と選択されていきました。

結果として、今回の取り組みは、単なる支援関係にとどまらず、同じ難易度の問いに向き合う立場として、志を共有しながら進んでいったプロジェクトであったとも言えます。

役割から始まる採用と組織の輪郭

今回の採用は、「求人内容を分かりやすく可視化して、募集すること」から始まりました。

「この役割は、何を実現するためにするのか」という問いから整理を進めていきました。このプロセスを通じて、組織そのものの輪郭が明確になっていきます。

どんな価値観を大切にする組織にしていくのかを考えることに繋がっていきました。

現在は相応の規模の組織になっています。単に人数を増やしていくことが目的ではなく、「何を目標に掲げ、その実現にはどういう人を仲間にしていきたいのか」という軸が形になってきています。

「同じ方向に向かって、一人ひとりが専門性を十分に発揮しながら、チーム力で前に進んでいくような組織を創っていきたい」
広島から始まったこの挑戦は、地域にとどまらず、日本、そして世界へと拡がろうとしています。


今回の取り組みは、大学という特別な環境の話に見えるかもしれません。
しかし、本質は、多くの企業や組織にも共通しています。
「まだ存在しないものを、自分たちで創っていきたいという想いと覚悟があるか」です。

採用や組織づくりに、正解はないと思います。
だからこそ、問い続けながら進んでいくことが求められます。この挑戦ストーリーが、皆さまの次の一歩につながれば幸いです。